野村克也「あぁ、阪神タイガース――負ける理由、勝つ理由」(角川書店)
[ 内容 ]
知将・野村楽天監督が他球団で低迷する阪神タイガースを徹底分析し再生論をアドバイス!前作ベストセラー『巨人軍論』に続く第2弾登場。
以前ざっと立ち読みした感想を書きましたが、図書館で借りてこれたので全部読みました(爆)
この本のタイトルからして、阪神ファンをメインのターゲットにしているとは思いますが、この本だけでは、「敗軍の将、兵を語る(言い訳)」とか「負け惜しみ」とか「南海時代の(人気がなかったとの)ひがみのトラウマを引きずっている」とかの所感の域を出ないタイガースファンが多かろうと思われますので、2年前に上梓した「巨人軍論」(当ブログ感想文)と一緒に読むことをおすすめします。
もちろん、
阪神ファン、巨人ファンに限らず、野球ファンすべての方に・・・
引き続き、【目次】に沿って気づいたところを
第1章 阪神が“ダメ虎”だった理由
(最大のガンはスポーツ新聞/「悪いのは監督」の大合唱 ほか)
・威厳を感じさせない歴代監督(ただし、外様の藤本・星野を除く)
・フロントの責任も大きい
・関西人は関東人よりせっかち。東北の人はもっと辛抱強い
・1992年野村ヤクルト初優勝決定の甲子園球場の阪神戦。サッチーも見てたのね。しかも、「さすがの妻も怖くなったらしい。記者に守られて逃げてきたのだ。」ってマジっすか?
・東京への対抗意識が強すぎ
第2章 なぜ、阪神監督で失敗したか
(久万オーナーの一言/エースと四番の不在 ほか)
・中心なき組織は機能しない(当時の阪神にはいなかった。楽天には山崎武司がいる)
・「野村の考え」を聞かない選手たち(矢野、桧山、新人選手を除く)
・ヤクルトではみんな聞いていた。聞いてないと思っていた池山さえも
・ただ、それは自分が著書を配ってしまったことにも責任あり
・(無視⇒賞賛⇒非難の3段階の)「非難」の真意が通じなかった今岡
(当ブログ管理人注記:「星野流」を一部立ち読みしたら、「今岡は非難で萎縮するタイプ」書かれてありましたね。)
・矢野の正捕手も消去法で選んだだけ(あまりにセオリーに忠実すぎるが、他の捕手はもっと醜かった。勉強意欲は感じた。)
・福原・井川の育成法(ネタバレ防止のため詳細省略)
・赤星・藤本は自ら発掘
・自分の「理」は阪神では通用しなかった
・旧近鉄の面々にも、自分が監督をしていた頃の阪神の選手たちと同じような自分さえよければというのを強く感ずる
(具体的には第1章で礒部と中村紀をあげている。ただし、ノリは中日に育成枠で入って以降心を入れ替えたようだ)
・選手だけでなく自分にも負けていた
第3章 阪神に伝統はない
(感じない伝統/私が選ぶ歴代ベストナイン ほか)
・巨人には伝統を感じるが、阪神はただ古いだけ
・歴代ベストナインを考えても、巨人には入れたい人が多すぎて迷う。阪神は簡単に埋まる
・鎌田−吉田の二遊間を絶賛
(今のアライバとどっちが上と思うんだろうか?)
・どうして掛布が現役引退後に監督・コーチに1回もお声がかからなかったのかよくわかりました
・(2007年)日本シリーズの落合采配を改めて非難⇒当ブログ関連記事
(ノムさんは、ほとんどのファンが「山井の完全試合」を望んでいたと思ったと言ってますが、実際は完全試合を見たかったと言っている方がやや少なめだったような・・・)
・阪神というチームには選手の将来性を見る目がない
・村山兼任監督就任の際に、鶴岡御大の可能性もあった
・人間教育の欠如⇒引退後他チームのコーチ・監督になる人がほとんどいない
・無形の力の軽視
第4章 阪神を星野、岡田は強くしたか
(阪神には“理”よりも“熱”/星野の持つ鉄拳と人脈 ほか)
・「野村監督時代の成果が、星野監督時代に花開いた」と多くの阪神関係者に言われるのは嬉しいが、(注:当ブログ管理人もそう思う)、自分は何ひとつ変えられなかった。
・星野には自分にない「こわさ」「政治力」がある
・星野の最大の功績=2002年オフに金本・伊良部・下柳を獲得
・星野阪神=川上巨人
・星野の欠点=金田と似ている。その欠点を補った(故)島野
・星野の意識改革が浸透したかどうか、もっと長くやってもらいたかった
第5章 阪神は変わったか
(金本という中心/改革のメスが入った編成部 ほか)
・金本というチームの中心ができたことは大きい=現在のプロ野球で真の中心と言えるのは金本くらい
・編成部も変わった、即戦力重視へ。将来性ほどあてにならないものはない
・社会人の方がプロの二軍より育成能力が高い
・野村時代に自分が訴えた無形の力の重要性にようやく気づき始めた
・選手任せの岡田。監督時代にほとんど話もしなかったので、どういう野球をめざしているのかよくわからない。選手が自分で考えざるを得ない。サッカーやラグビーならそれでもいいが、野球は「間」のスポーツゆえ監督の裁量部分、醍醐味が大きい。
・岡田の野球はアメリカンスタイル。名監督になる器かも
あとがき
・地域密着と言う点では阪神は理想的な球団
・楽天監督として、阪神と日本シリーズがしたい
まとめると、
ともあれ、自分はノムさんがタイガースの監督時代の3年間に結果は出ませんでしたが、星野さんが成果を出す下地は作ったとは評価しておりますんで・・・
それを(岡田が)どんでん返しして昔の阪神に戻ってきつつあるかどうかについては、見解が分かれるところですが、ノムさんはそれを危惧してますね。
もっともノムさんには岡田の放任スタイルは理解できないでしょうが・・・
はっきりとは書いてませんが、言外に
「(岡田はアレでも)今の阪神は金本でもっている」
ということが感じ取れます。
それより、ノムさん。阪神の心配する前に、
今岡に対する失敗体験を、岩隈・一場で繰り返さないようにね・・・
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
敵将が徹底分析した前代未聞の阪神タイガース論。敗軍の将だからわかった復活のための「野村の考え」。
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
野村克也(ノムラカツヤ)
1935年、京都府生まれ。54年、京都府立峰山高校卒業。南海(現福岡ソフトバンク)ホークスへテスト生で入団。3年目に本塁打王。65年、戦後初の三冠王(史上2人目)など、MVP5度、首位打者1度、本塁打王9度、打点王7度。ベストナイン19回、ゴールデングラブ賞1回。70年、監督(捕手兼任)に就任。73年パ・リーグ優勝。のちにロッテ・オリオンズ、西武ライオンズでプレー。80年に45歳で現役引退。通算成績2901安打、657本塁打、1988打点、打率277。90年、ヤクルトスワローズ監督に就任、4度優勝(日本一3度)。99年から3年間、阪神タイガース監督。2002年から社会人野球シダックスのゼネラル・マネジャー兼監督。03年都市対抗野球大会で準優勝。89年、野球殿堂入り。06年度、東北楽天ゴールデンイーグルス監督就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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